グラフで遊んでみた

初出:2004/01/03

突っ込みあってこその評価

こんな風に焼酎の評価を行っていながら何だが、
大体において、他人の評価はあてにならない

銘柄の味わいの大筋について述べることは可能かもしれない。
しかし、前にも書いているけれど、いくら誠実に評価を書いても、
自分が感じている「味わいのかたち」が伝わる方が奇蹟だと思っている。

では何のために、そんな評価があるのか。
「突っ込まれるために存在する」と、私は思っている。
関西人的感覚なのかもしれない。

どんな評価でも、自分の好みを誠実に綴っていて、
広告的バイアスが掛かっていなければ、それはきっと、
書いた本人には紛うことなき事実なのだろうが、
それでも人の評価に対して、
「えっ?」的違和感を感じることはよくあることだ。

突っ込みを愉しむ、とは「差異を愉しむ」ことだと思う。
一律の評価基準がないからこそ、愉しめる。
差異を放置せずに、橋を架ける努力が要る場合もあるけれど、
嗜好品の世界でいちいちその彼我の差を裁いたりすることには
あまり意味もないし、だいいち、疲れる。

「一個人」という雑誌で

ところで、本格焼酎のブームだ、と言われ続けてもう数年経つが、
「ブーム」と呼ばれる割にはなかなか下火にはならない。
本格焼酎の世界は、確かに一度はまると抜けにくいが、
相変わらず、各種メディアで取り上げられることが多い。

雑誌でも焼酎特集を結構見かける。
今は「焼酎」の特集を表紙に冠しておけば
売上増が見込めるのかもしれない。

そんな雑誌の中、最近なかなか充実していて愉しめたのは、
「一個人」という雑誌の焼酎特集だ。
この雑誌、まさに「充実した老後」を送るための、
多分定年後の年齢層をターゲットとした
普段なら絶対買わない類の、落ち葉のように枯れた雑誌なのだが、
本格焼酎特集目当てで買ってしまった。
版元の策略に嵌められたらしい。

その特集も例のごとく、なるほどと頷く部分、
正直な批評を期待しないまでも、
「少しくらいは苦言もほしいな」と思う部分、
様々だったが、その中でも特に、
「やはり感性は人によって違うな」
と感心してしまった箇所があった。
「テイスティングチャート」と題された散布図のことである。

味の濃淡を横軸、香りの強弱を縦軸に取り、
そこに芋焼酎の銘柄が30種類以上プロットされている。
ざっとこんな感じだ。
現在私が評価済みの銘柄のみ抜粋してみる。

一個人

雑誌「一個人」2003年12月号から一部抜粋

※模写なので位置関係は割とアバウト
※プロット色が種麹菌の種類を示す
(白/黄/黒。「魔王」は種麹菌不明<黄麹?>)

グラフの下には以下のような注意書きが書かれている。

このチャート図には、銘柄の熟成状態などは加味されていない。 ボトルによって微妙な差が生じることがある。また、香りや味の種類などもここで加味されていない。 あくまでも香りと味の強さの度合いをチャート化した。

引用元:一個人 2003年12月号

好みを云々する評価ではなく、
あくまで香りと味の「強さ」のチャートだ、とのことだ。

違和感を感じる

このグラフ、旨い−不味いマップといった、
明らかに紛糾を呼ぶような評価ではないにも関わらず、
それでも私の印象とは随分違和感がある。
特に「薩摩茶屋」、「蔵の師魂」、「侍士の門」の位置。
記憶を辿りながらだが、私の感覚では下のような感じになる。
先の雑誌のグラフは多分、全てストレートでの評価だろうけれど、
私の場合、ロック・お湯割りなど、
呑み方ばらばらの印象評価だ。

個人的印象

「一個人」所載「テイスティングチャート」を一部自分の印象でアレンジ。
黒麹銘柄が右上に密集しているが、作為的ではない。

こうやってグラフを書いてみると、
二次元の世界にプロットする作業の困難さがよく判る。
味の濃さという一見単純に思える指標さえ、
強い−弱いという一次元の軸に落とし込むことは、 結構乱暴な行為だ。
そして、乱暴な上に「わかったような気になりやすい」点で誤解を招きやすい。
グラフのわかりやすさがもたらす錯覚だろう。

さあ、突っ込みを入れてくれ

でも折角だから、乱暴ついでにもっとグラフで遊んでみる。
もっと主観で自分の好みをプロットすると、こんな感じだ。

個人的な軸

横軸に「辛さ」、縦軸に「上品さ」をとった。
基本的にキツめの癖があって、少々辛いタイプが好きなようだ(勿論例外もある)。
ただ、「三岳」なんかは好きな部類の銘柄。

更に、私が住んでいる地域の印象で、
焼酎の入手困難度−つい買ってしまう度をグラフ化してみる。
レア度の単位は<魔王>、
つい買ってしまう度の単位は<衝動買いする本数>である。
例えば、下のグラフで「森伊蔵」は、
レア度約1.8魔王、確実に1本は衝動買いしてしまいそうな勢い。
勿論これらは、正価販売されている場合に限ることは言うまでもない。

入手困難度

入手困難度−つい買ってしまう度のグラフ。
但し、「レアものが重点的に欲しい」わけではない。
おいしいものが欲しい。

私のミーハー度を象徴するかのように、
右肩上がりのグラフになってしまったが、
まあ、いわゆるレア気味の銘柄でも
居酒屋なんかで呑むことはできるので、
一度購入してしまえば、
つい買ってしまう度は大幅に減少するだろう。