芋焼酎の魅力・多彩な呑み方

初出:2003/09/23

焼酎はおしつけがましくない

芋焼酎の魅力は、と問われれば、
まず第一に「自由で多彩な呑み方ができる」ことだと答える。
芋焼酎は、「かくあるべし」といったルールでがんじがらめの
こわばった堅苦しさと無縁だ。
しかし、敷居の低さと奥深さとは矛盾しない。

焼酎の味を如何にして引き出すか。
この方法がこれほど多岐に亘る酒もあまりない。
自分に合う呑み方、その銘柄に合う呑み方を試行錯誤するのが愉しい。
焼酎は呑み方によって、融通無碍の表情を見せる。
焼酎を呑むということは、旨さという目標を共有する
造り手と呑み手の共同作業なんだと思う。

ここで、その芋焼酎の様々な呑み方を紹介しようと思う。

追記: きょうび常識すぎる内容の割には偉そうだ。

とはいえ、ウンチクを傾けるつもりはない。

旨さを厳密に追求するのも良し。
けれども、私はかなり大雑把である。
留意事項を強いて言えば、
「お湯割りや燗を熱くしすぎない」こと。
個人的なルールはこのくらいしかない。

1)何もせずに呑む

単純明快ストレート。でもちょっと素っ気ない。
ただ、熟成された濃厚な焼酎はこの呑み方が最も合う場合もある。
ブランデーのように単にグラスに入れて、
シンプルにちびちびと呑むのも、
「愛でている」感があってなかなか風情がある。
ストレートが旨いのが、本当に旨い焼酎なのかもしれない。
ただ、個人的には酒屋さんでのテイスティングや、
初トライの銘柄の最初に少しする程度で、
あまりこの呑み方はしない。

ストレート

「天使の誘惑」(西酒造)などはストレートが合う好例。 熟成された味や薫りもさることながら、その琥珀色の液体をブランデーグラスに入れても映える。

2)お湯割りで呑む

水や湯で割ることで味を薄くするのではなく、
逆に味の魅力を引き出す場合が多いのが芋焼酎の特徴。
うまくツボにはまれば「コク」がぐん、と引き立つ。
季節的には冬の雰囲気がする呑み方だが、
夏に呑んでも旨いものは旨い。
芋焼酎のイメージに最も似合う呑み方だと思う。

一応、「お湯をグラスに入れてから」、
焼酎を注ぐのがの本道。
この順番の方が、熱対流でよく両者が混ざる。

追記: 熱いものの方が上にのぼりやすい、って奴ですな。

よって特にマドラーなどで混ぜる必要はない。

温度は出来上がりが40度強程度が適温。
あまり熱すぎると旨味が殺されることが多い。
高くてもせいぜい出来上がり50度程度だろう。
だから、割る前には少々、
お湯を湯冷ましした方がいいかもしれない。

割る割合は焼酎:お湯=6:4が一般的と言われているが、
これは気分や銘柄に応じて適宜変えればいいと思う。
私の場合、5:5〜8:2の範囲で適宜調整をする。

あと、居酒屋でよくやるように、
芋焼酎に梅干しなんかを入れるのはいかがなものだろう。
田崎真也氏は著書(「本格焼酎を愉しむ」)の中で、
梅干しが合う芋焼酎(例えば「伊佐錦」)もある、と書かれている。
この芋焼酎は梅干しに合う、と感じる感性に対して畏敬の念は抱くが、
しかしながら一方で、「梅干!なんか違うぜ」っていう違和感もある。
やはり素材そのものの味を大切にしたいところだ。

ちなみに私は、数年前まで居酒屋で焼酎のお湯割りを貰うと、
芋焼酎だろうが麦焼酎だろうが無条件に梅干しを追加し、
割り箸でぐしゃぐしゃに潰していた。汗顔の至りである。

追記: 今や「梅干し入れてつぶして呑む人」ってすっかり見ないですね。どっかにまだ生息しているのだろうか。
3)水割りで呑む

水も氷もどかどか加えると、
氷が溶けるに従い随分薄くなってしまう。
水割りの場合は氷を加えないか、
又は割り水を控えめにして、軽く氷を浮かべるくらいの方がいい。
単に常温の水で割った方が、
新しい発見があるかもしれない。
夏場に冷えたソーダ水で割って、
ビール替わりにがぶがぶと呑むのもまた乙。

4)ロックで呑む

お湯割りと並び、芋焼酎の呑み方の王道。
大ぶりの氷を入れたグラスに芋焼酎をどばっと注ぐ。
最近は爽やかな味わいの芋焼酎が多いので、
ロックが合う銘柄が多くなっている。
基本的にオールラウンドに対応できて、
大きく味を損ねることがなく、簡単。安全牌的呑み方。
氷が溶けるに従って、旨みの質が変貌していく。

ロック

ロックで呑むときはやはり大きめの氷山のような氷が似合う。 一般的な製氷器ではこんな氷は作れないので買うことになる。大きな氷を造る次善の策としては 「製氷器で出来た氷を複数くっつける」手があるが、恰好悪いのが難点。

5)ひやで呑む

冷やしてストレートで呑む。
アルコール度数が30度後半〜
本格焼酎の限界(アルコール45度)付近の焼酎は、
冷凍庫で冷やしても凍ることはない。
この呑み方とロック、両者でやはり味は変わってくる。
さっぱり・爽やか系の芋焼酎や、
原酒をちびちび頂くのに合う呑み方だ。

6)燗で呑む

これも、艶っぽい女将が徳利を持とうとして、
「あっ」などと言いながら
慌てて耳たぶに手を持っていくほど熱いのは頂けない。
ぬる燗が良い。

この燗も二通りある。
・割らないで直で燗する
・水で割って燗する
後者の場合、水で割ってから2、3日寝かせるのも良い。

ただ、この方法は仕込みの準備が要るだけに、
実際に呑むとき、「この焼酎と対決」的緊張感が走る。

私は、主に原酒でこういう呑み方をすることが多い。
8:2程度の割合で水を加えて一週間ほど寝かせてから燗すると、
穏やかな旨みが引き出せる場合がある。

追記: 「寝かせる」と味は確かに馴染んで柔らかくなるように感じるのだが、これもある程度「雰囲気」込みの効果だと思う。

燗は何の器でもいいのだが、
専用の酒器がヂョカである。
湯煎で焼酎の入ったヂョカを暖めて、
温度が40度を超したくらいで引き上げる。
これで呑むのは、なかなか趣があって良い。
しかし、芋焼酎の本場の南九州では、
このヂョカ、普段は案外使われていないという話も聞く。
恰好なんか気にせず、もっとカジュアルに・シンプルに呑むべ、
ということなのだろうか。

ジョカ

これがジョカ。焼酎を多く取り扱っている酒販店でも売っている。そう高価いものでもない。直火で燗してもいいが、コンロの強火だと割れてしまう恐れがあり、注意。使用後に洗わないものらしいが、私はさっと水洗いくらいはする。ちなみに呑む方の器は「チョク」という。「猪口」と語源は同じようだ。


私はだいたいここに挙げたような呑み方を使い分けている。
ともかく、一番の目的は愉しみながら、
まったりとした時間を過ごすこと。
幸せが感じられれば、どんな方法でも間違いはないと思う。