April 8, 2007

GRが壊れた 

Category : 写真・flickr

本当にあっけなく逝った。

ライトアップされ、紅く美しい幾何学模様に彩られた二条城の城壁の前、GRの付いた三脚がゆっくりと前のめりに倒れるのを私は呆然として眺めていた。
カメラがレンズ側から敷きつめられた砂利に突っ込んでいった時も、私はただぼんやりとしていた。深い砂利のせいで、衝撃音がほとんどなかったせいもある。強いて言えば、ずぶ、という鈍い音がしたくらいだ。
我に返った時、まず、レンズが傷ついていないだろうか、と思った。三脚を起こし、暗がりの中でレンズ表面をライトで透かしてみる。鏡筒に少し砂が付着しているが、レンズは無事のようだ。
だが、紅く光る城壁にレンズを向けても、相変わらず液晶画面は暗いままだ。露出を変えても何も映らない。シャッターを押すと聞き馴れない音がする。ジー、ジリッ、ジリジリジリッ・・。
一旦電源を切ろうとすると、その不吉な音が長く続き、そして何かを諦めたかのように止まった。レンズは剥き出しになったまま、仕舞われることはなかった。

ようやく状況が把握できた。壊れたのだ。

私は非常に、物を壊す/物が壊れるということに弱い。へこむ。なかんずく電化製品に関して弱い。
毎週末ごとに持ち歩き、もうこの存在なしでは何のための土日かと思うくらい、そして右手をポケットに突っ込んで、その手触りをそこに感じていないと安心できないくらい、の物が壊れた。その悲嘆を何に例えればいいのか。

後悔した。自分の判断ミスを怨んだ。倒れるのを止めようともしなかった自分を悔いた。時間が戻らないだろうかと願った。
その時、私は確かに疲れていた。あちこちで桜を撮った上、山のように買い物をして膨らんだ重い鞄を担いで二条城の夜間ライトアップに向かったのだ。そして深い砂利で三脚のバランスが崩れることすら予測できなかった。

10分くらいぼんやりしていた。私は相変わらず二条城の中にいることに気付いた。多くの人波が私を追い越して行く。まだ私は正門の傍にいて、中を殆ど見ていない。余程もう帰ろうかと思ったが、決心して、城内を見て回ることにした。重い足を引きずりながら、人の後をついていく。

本当に見事な夜桜だった。
タイミングは最高だったのだろう。見上げると、まさに盛りと白く輝く桜が十重二十重に積み重なり、重厚なアーチとなって、夜の闇に浮かび上がっていた。嘆声があちこちで漏れるのが聞こえた。ライトアップされた堀の波紋が城壁に反射して描く複雑な文様は、言いようのないアブストラクトを成していた。写真がないのが残念である。はは。

しかし、こんなに沈鬱に満開の桜を見たのは生まれて初めてだ。
去年までなら、素直にその美しさを讃えるだけだっただろう。そして満開の時期に訪れたその幸運を人に吹聴して終わっていただろう。
写真という趣味を持つことで、より自分を窮屈にしている・・。

修理に出さなければならない。またか。
先週休みをとって、江坂のRICOHサービスセンターに行き、CCDのクリーニングをしてきたばかりなのだ。
保証期間内だが、今回は費用が掛かってもしかたない。

ああ。この写真を撮った時に戻りたい。

護国神社

護国神社。満開だった。

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