August 19, 2006

ビール市場はこの10年で半分に

部屋を掃除していると今月頭の新聞が出てきた。
「本格焼酎市場沸騰」とある。

記事を要約すると、「本格焼酎のブームは落ち着いたが、
今後も安定拡大は続くと予想される。ビール類の市場が頭打ちの中、
新規市場を求めて大手メーカーが新商品をもって参入する見通しである」
とのことだ。

この手の記事で、まず見るのは数字のデータである。

大手酒類メーカーによると平成15年度から2年連続で2ケタの伸びが続き、17年度の国内の本格焼酎の課税数量は53万9280キロリットルと3年連続で過去最高を更新した。
とりわけ芋焼酎を中心に人気は根強く、日本酒造組合中央会によると本格焼酎を原料別に見た場合、17年度のサツマイモの課税数量は3年前の約2倍で、麦や米に比べて伸び率は高い。

引用元:産経新聞 関西版(8/4)

課税数量を消費数量と見た場合、
昨年は一升瓶換算で本格焼酎が約3億本が消費されたことになる。
成人人口をざっくり1億人とした場合、一人平均一升瓶3本/年の消費量。
<私の場合、だいたい2〜3週間で一本空けるペースであるため、
(一日に一合呑まない日の方が多い)多くて約26本/年という計算。
少ない方だと思っていたが、平均値の9倍弱ということになる>

ちなみに平成6年の本格焼酎の課税数量は27万5237キロリットル。
11年で倍になった計算だ。
そして対照的に、その期間でビールの課税数量は約半分となった。
(700万キロリットル<H6>→380万キロリットル<H16>)
※引用元:酒類課税数量の推移表(国産分)
但し、平成16年の「雑酒」の消費量が250万キロリットル。殆どが発泡酒だろう。
ビールと併せて計630万キロリットルなので、確かに漸減傾向ではある。
大手ビールメーカーの着眼が本格焼酎に向かうのはごく自然といえる。

記事によると、大手ビールメーカーは、
・サッポロビールはキッコーマンから焼酎醸造工場を取得
・キリンビールは飲食店向銘柄「麒麟まろやか芋」等を今月より販売開始
・アサヒビールは「さつま司黒麹仕込み」を今月末より販売開始
といった具合に次の一手を打ち出している、という。

新参マスプロ焼酎の行く末は

以下は単なる予想。感覚のみで根拠はない。

立派な偏見だが、多分これらのマスプロ焼酎の強みはコスト以外にない。
よって、飲食店向け銘柄を優先して、まずはライト市場への浸透を図る。
つまり利幅の大きさで飲食店ルートを釣る。
(例:居酒屋で黒霧島=¥500の値付けだった場合、マスプロ焼酎=¥450程度でも
黒霧以上の利幅が出るくらいの仕入原価とする・・等)

また、本格的焼酎たるイメージを植え付けるためには、
「黒麹」
と付けるのが一番手っ取り早い。
周りの人を見ていると、どうも意味なく黒麹を崇める傾向が強いのだ。
これは読んで字の如く、単に麹の種類を示すものである。
別段白麹が劣っているわけではない、という認識が早く浸透してほしいものだ。
あと、「コガネセンガン使用」というキャッチも、ありそうだ。
言うまでもなく黄金千貫は芋焼酎で最も一般的に使用される芋である。
(但し、国産黄金千貫100%、と謳われていればまた意味は変わる)

飲食店ルートで一定以上の売上が得られれば、
上記メーカーにとっては多分御の字なのだろう。
マスプロ焼酎がこの段階で留まっていれば、別段問題は生じないように思う。
安価でいつでも呑めるマスプロ焼酎、廉価だがマスプロよりやや高い既存の本格焼酎、
というおおくくりの棲み分けができるだけだ。

しかし更に、酒販店ルート(指名買い)にまで本格参入しようとした場合は?
ある程度の知名度が得られた後、名実伴うブランドを確立していくために
どのような手が考えられるだろうか。

すぐに思いつくのは、穏当なら有名蔵元との技術・営業提携、
最終的には既存のブランドを丸ごと買っちゃう、という手である。

ブームが一段落した現在、蔵元によっては設備投資が裏目に出て、
供給過多になってしまっているところもあるだろう。
大手メーカーの一番のターゲットになるのは、
そういう、足腰が弱ってしまった蔵元ではないか。

・・どうも悪い未来ばかり考えてしまっている。いかんいかん。
単純に市場が活性化するなら、別段悪い話ばかりでもあるまい。
ただ、強大な資金力を持つ大手の動向はウォッチしておく必要があるだろう。
まだ言うか。

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